はじめに
歯科衛生士として数年間働いていると、本当にさまざまな患者さんと出会います。
頑張って通院されている方、歯医者が怖くてなかなか来られなかった方、治療を拒否してしまうお子さん…。
そして現場では、思いがけないトラブルに発展するケースも少なくありません。
この記事では、実際に経験してきた患者さんとのエピソードをもとに、トラブルの背景とその対策についてお話しします。
ストレスと食いしばり|原因は噛み合わせだけではない
検診の際、虫歯や歯周病だけでなく「食いしばり」や「顎の動き」などもチェックします。
中でも多いのが、生活習慣やストレスが原因の食いしばりです。
実際にお話を聞くと、
・育児や介護による疲労
・仕事のストレス
・無意識の緊張状態
など、日常生活が大きく関係していることが多いです。
対応として行うこと
- TCH(歯列接触癖)の指導
- スプリント療法(ナイトガード)
- 生活背景のヒアリング
ただし、TCHは「意識すればすぐ治る」というものではありません。
ストレスが強いと、ふとした瞬間に再発してしまうこともあります。
そのため、時間をかけて少しずつ改善していくサポートが必要になります。
「神経がないのに痛い」は本当にありえない?
過去にこんな患者さんが来院されました。
「前の歯医者で、神経がないから痛いはずがないと言われた」
確かに神経がなければ“しみる痛み”は起きにくいです。
しかし、痛みの原因はそれだけではありません。
例えば、
- フィステル(膿の出口)
- 根尖病変
- 噛み合わせによる違和感
など、別の原因で痛みが出ることは十分にあります。
結果的にその患者さんは再治療を行い、症状は改善しました。
痛みは数値で測れるものではなく、人それぞれです。
だからこそ、患者さんの訴えを否定しない姿勢がとても重要だと感じています。
治療を拒否する子どもへの対応
小児の患者さんでよくあるのが「怖くて口を開けられない」というケースです。
無理に進めるのではなく、まずは安心させることが大切です。
実際の現場では、
- 声かけをしながらゆっくり進める
- 少しでもできたことを褒める
- 最初の成功体験を作る
といった工夫をしています。
最初は泣いていたお子さんでも、一度できると次からスムーズになることが多いです。
保護者の方も悩んでいるケースが多いですが、少しずつ慣れていくことが大切です。
抑制についての考え方
障害のあるお子さんや、強い恐怖心で治療が難しい場合、抑制が必要になることもあります。
抑制についてはさまざまな意見がありますが、
安全に治療を行い、痛みを取り除くために必要なケースも存在します。
もちろん、無理に行うのではなく、
患者さんの状態やご家族の意向を踏まえた上で慎重に判断することが大切です。
実際にあったトラブル事例
歯科医院では、さまざまなトラブルも起こります。
例えば、
- レントゲン(デンタル)撮影を拒否して怒って帰られた方
- 「雑に扱われた」と感じてクレームにつながったケース
- 長時間の電話での苦情対応
こうしたトラブルは、患者さん側だけでなく、
医療者側の説明不足が原因になることもあります。
トラブルを防ぐために大切なこと
トラブルを防ぐために最も大切なのは、
「インフォームドコンセント(説明と同意)」です。
具体的には、
- 治療内容をわかりやすく説明する
- メリット・デメリットを伝える
- 患者さんが納得した状態で進める
これを徹底することで、多くのトラブルは防ぐことができます。
また、日頃からのコミュニケーションも非常に重要です。
まとめ
歯科医療の現場では、技術だけでなく「人との関わり」がとても重要です。
患者さん一人ひとりに背景があり、感じ方も違います。
だからこそ、丁寧な対応と信頼関係の積み重ねが、
トラブルを防ぎ、より良い医療につながると感じています。
これからも、一人でも多くの患者さんに安心して通っていただけるよう、日々向き合っていきたいと思います。

コメント